梅雨寒や 愛犬の尾の ほかほかと 台風一過 隣も雨戸 開ける音 犬連れは 犬連れどうし つゆ晴れ間 長雨や 二十歳のころの 写真見る 家事終えて ひと時の幸 新茶飲む アスファルト すれすれに飛ぶ 親ツバメ レモン切り 隣の部屋まで 匂いけり 午後からは 本降りの雨 ねぎぼうず ベランダの 子猫すっかり 夏の顔 ゆらゆらと こでまり揺れる 風の道 寿司つまむ 夫と二人 子供の日 二輪草 千年杉を 仰ぎ見る 人おそう 気配も見せて 街カラス 捨てがたき 古着の山よ 衣替え あいにくの 雨となりたる シャガの花 宿ゆかた 着替えてよりの 旅心 堅き土 根にまつわりて 冬の草 一輪の 重き椿や 春の雨 昼永き 椿の枝に カタツムリ 大干潟 海の中から 島景色 桜より 人ぞ湧き出る 高遠山 二羽の蝶 追うて追われて 我も追う おしゃべりで みるみるレース 編み上げる 手に取れば ズシリと重き 草の餅 山歩き 岩の隙間に すみれ咲く |
ある日ふと 梅の香りし 庭となり どこまでも 空かぶさりて 冬木立 それぞれに 趣味異なりて 夜長かな 冬晴れの 鉢にさし水 溢れさせ 朝寒や 言葉少なき 登校児 朝焼けの 雲屋根やねに こぼれ落ち 建て替える 目途なき我が家の 寒椿 亡き母に 百一歳ねと 一周忌 道の駅 八畳ほどの たたみ敷き 冬最中 鉢それぞれの 置き所 葉牡丹に 光集まる 冬日かな 聞き役も 居て炬燵の 暖かさ 柚子ひとつ 手のひらの上 冬至かな 陽のにおい 頬寄せてみる 干し布団 古日記 娘の嫁ぎし日 文字あふれ 山茶花や 庭の雀が 顔をだし 愛犬の 小さき足も 落ち葉踏む 大根煮 ほどよき匂い 日暮れ時 ゆずられて 嬉し悲しや 優先席 |