ほのぼの俳句

遊びですから笑ってみてね
2007
 
就寝時 蚊の一匹を 逃しけり

沈丁花 我が家はかくも 狭きこと

梅干しの 種口中を 一回り

つくしんぼう 家族のごとくかたまりて

梅咲いて 歩いて行こうか ポストまで

夜明け前 プロポーズする 猫の声

お隣は 振袖の娘 門に立ち

松とれて 昆布巻きだけが 残りおり

冬の陽を背に 仏壇に手を合わせ

どの顔も 皆友達の 花の店

墓参り 若き面影 とこしえに

今みっけ シンピジュームの秋芽かな

ひと群れは 白花なりし 彼岸花

彼岸花 突如咲きしと ニュース聞く

名を知りて これ愛しき 雑草の花

ゆり咲いて 急に明るく なる花壇

山あじさい 丸太造りの 喫茶店

朝顔の 桃色薄き 二番花

三日月に 追わるる如く 歩きけり

紫陽花や 小さき手毬の 浅黄色

五月晴れ 窓から見える 地鎮祭

知らんぷり けんかの後に 新茶飲む

実家より 帰りし夫の手に 芹の束





2006
 

木の芽ふく 雲に交わる 薄緑

どこまでも 続く道あり イヌフグリ

自転車の 風に色あり 春うらら

真っ青な 空うばい合う 梅の枝

しあわせの 願とどけや 雛の段

春塵を 拭けば奏ずる オルゴール

日脚延ぶ 万年青の蔭の 冬水仙

いつの間に はや如月の カレンダー

幾重にも みくじ結びし 初天神

今はまだ 遠き春待つ 寒の鯉

ぼたん雪 南天の赤 冴え冴えと

松とれて 再び冬の さなかかな

裸木に 固き蕾の 花みずき

百人一首 読みつつ幼い日のよみがえる

残りたる 一羽も去りぬ 初すずめ

小松菜を 切って包丁 始めかな

積もりたる 師走の行事 駆け抜ける

柚子風呂や 過ぎし谷あり 今日の幸

庭掃除 風の量だけ 木の葉散り

花散らす 白山茶花の 白さみし




2005


姉ひとり 時には遠く 冬薔薇

枯草に 痩せこおろぎの 哀れかな

いつになく 笑顔で話す 栗の飯

水たまり 映りし雲の 早きこと

秋の陽を 背に鉢花を 育ており

コスモスの 花に見とれて 道まよう

今日もまた 蝶の集まる ニラの花

朝蜘蛛の 玄関に来て ぶら下がる

秋風や 嬉しくてふと 寂しくて

寝室に 秋の陽静かに 入り込む

高原の そば花に触れ 風光る

夜明け前 手足でさぐる 掛け布団

飛び石を 乗り越えのりこえ アリの列

夏寒し 暑中見舞いも 出しそびれ

空蝉の しがみつきたる 義母の墓

惜しまれて 朝顔縮む 昼下がり

初蝉や 日暮れてもなお 鳴き止まず

梅干しを 縁に広げて つゆ明ける

空蝉や 紙の音して 転がりぬ

膨らんで ころりと落ちる 憎っくき蚊

朝顔や 今日も変わらぬ 日の始め

夕じたく 紫紺のなすの キュッと鳴り

さぎ草の 翼わずかに 震え居り



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